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炊飯器があれば米が炊けるように、焙煎機があればコーヒーが焼ける。

おラオス!

【コーヒー生産者STORY part4】コーヒー生産者の義理と人情

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どもっす!

ラオスに来て肝臓が一番鍛えられてるいーちぇです。

 

今回は、村の一番えらい人! 

 

 

 

村長・ヴィエンサイさん

 

今回インタビューしたのは、セータプン村の村長ヴィエンサイさん

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ヴィエンサイさん。見た目はこわい。 

 

村長は村人の選挙によって決まるそうです。

彼自身、村長を務めるのは3回目だそう。

 

 

村長にはどんな人が選ばれるんですか?

 

 

そうだな、、、教養があって、献身的で、性格が良くて、言葉に説得力があって、尊敬されている人かな。

 

 

(自分で言っちゃうんだ、、、)

 

 

彼も、JCFCの組合に参加しており、自分のアラビカ種ティピカを組合に販売しています。

 

 

セータプン村

 

せっかくなので、この村の歴史を聞いてみました。

 

ヴィエンサイさん「この村はもともとカニョンカン村という名前だったんだ。ラヴェーン族のカニョンカンという人物が開いた村だったからね。

 

しかし、そのあとの1965年ごろから米軍によるラオス領内爆撃が始まって、村人は森の中に逃げ込まなければならなかった。

だから、一度村は解散してしまったんだ。

 

その後、1973年に彼の子孫や他のラオ族の人が再度集まって、このセータプン村がつくられたんだよ。」

 

 

ラオスは、ベトナム戦争の戦場となった国でした。

それが、この地にも影響を及ぼしていたんですね。

 

ラオス内戦、さらにベトナム戦争についての体験談は、この後他のコーヒー生産者から聞くことになります。

 

 

 

組合に売る理由

 

 前回の記事でインタビューしたカンブーンさんには、JCFCの組合にコーヒーを売らない理由を聞きました。

 

iietzsche.hatenablog.jp

 

 

反対に今回は、組合に参加しているヴィエンサイさんにコーヒーを組合に売る理由を聞いてみました。

 

 

どうして組合にコーヒーを売っているんですか?

 

 

やっぱり組合に売った方が、仲買人に売るより高いからね。

 

 

 

やはり、高く売れるというのは大きな理由だそう。

ただ、ヴィエンサイさんは以下のように続けました。

 

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ヴィエンサイさん「でも、それだけじゃないぞ。

JCFCの設立後、日本の輸入会社がラオスに来て、我々のコーヒーを買ってくれた。

それも、仲買人よりもいい値段で買い取るというだけでなく、それを継続的に行ってくれる。

だから、我々はその恩に報いないといけないんだ。」

 

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スパっ、、、

 

なるほど。

日本に送られてくるラオスのコーヒー、そこには生産者の義理と人情が見え隠れしていました。

 

 

 

まとめ

 

フェアトレードと聞くと、なんだか「先進国が発展途上国のコーヒーを、慈悲によって高く買い取ってあげている」というイメージがつきがちです。

 

しかし、ぼくたちがコーヒーを飲めるのは、それを栽培してくれる生産者がいてくれるからこそですよね。そういう意味において、立場というのは対等なはず。

 

お互いを尊重し合うコーヒーの買取がされてこそ(金銭的なフェアだけでなく)、フェアトレードと言えるのかもしれません。

 

 

尊重、、、

今回の話が村長についてだっただけにね! 

 

 

・・・

 

 

 

それではまた!

 

【コーヒー生産者STORY part3】組合には戻らない

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どもっす!

ここのところ腕時計の存在を忘れてるいーちぇです。

 

今日はコーヒー生産者ストーリー part 3。

これまでとは、ちょっと違う立ち位置のコーヒー生産者にインタビューしてみました。

 

 

 

カンブーンさん

 

 今回は、前回までと異なりJCFC組合員ではないコーヒー生産者にインタビューしてみました。

紹介するのはカンブーンさん。

 

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こちらがそのカンブーンさん。

アラビカ種ティピカ、カティモール、ロブスタと3種類のコーヒーの木を持っています。

 

「なんか日本人がいるぞ」と、彼の家には親戚やらご近所さんが大集合。

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奥の扉は娘さんの部屋だそう。

のぞいてみたい、、、調査の一環としてね!

 

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扉の上にはポスターがありますね。タイの俳優らしいです。

こういうところは日本の女子となんら変わりない。

 

 

 

組合を抜けた理由

 

カンブーンさんにインタビューをしていると、あることがわかりました。

実は、彼は3年前まではJCFCの組合に参加していたというのです。

つまり彼は、パート1で組合長のギッさんが言っていた、最近組合を抜けたメンバーということですね。

 

iietzsche.hatenablog.jp

 

 

彼はなぜ辞めてしまったのでしょうか。

 

 

どうして組合を抜けたんですか?

 

 

組合内での仕事を負担に感じるようになったんだ。

家庭内の仕事もあるしね。

 

 

 

カンブーンさん曰く、自分が育てているコーヒーの世話だけでも大変なのに、組合員としての仕事も増えてきたため、組合にコーヒーを売ることを断念したんだそう。

 

やはり、ギッさんが言っていたように、仕事量に耐えかねて、組合員を辞めてしまったんですね。

 

組合に売れば高値がつくアラビカ種ティピカも、カティモールと一緒にチェリーのまま仲買人に売られているそう。

 

 うーん、もったいない?

 

 

 

組合には戻らない?

 

組合には戻らないのでしょうか。

 

 

今後、組合に参加したいですか?

 

 

そりゃ、高値で買ってくれるのは魅力的さ!

でも、組合員の負担が減らない限りは参加できないね。

 

 

でも、もしカンブーンさんが参加すれば、一人当たりの仕事量は減るんじゃないですか!?

 

 

それほど変わらないと思うね。

 

 

その場にいた組合員にも聞いたところ、やはり一人増えたくらいでは負担は減らないそう。

 

 

現状、カンブーンさんは借金まではしていないものの、これ以上の出費は厳しい状況だそう。そういう意味では、ほんとは組合に参加したい。

 

カンブーンさんが組合に売ることができる日はくるのでしょうか。

そのためには、どんな解決策が必要なのでしょうか、、、

 

 

 

 まとめ

 

一見すると、組合に参加すればいいことづくめなような気がします。

しかし実際には、たとえ組合がフェアトレードを実践していたとしても、それが必ずしも全てのコーヒー生産者の助けにならないというのが現実です。

 

確かに組合は、仲買人より高値で買い取ってくれます。

しかし、それには自分でチェリーからパーチメントまで加工し、さらにパーチメントから生豆まで他の組合員と一緒に加工するという条件付きです。

しかも、一般的に支払いは、それを売ったあとなので、もっと先のこと。

 

組合は、負担を軽く済ませたい、すぐにお金が欲しいというニーズに答えることができず、それを求めるコーヒー生産者は、コーヒーを加工する必要がない仲買人に売って、すぐに現金を手に入れるのです。

 

特にこのセータプン村では、組合員が少ないため余計に組合員の負担が増して、またメンバーが少なくなるという負のスパイラルが発生しているのかもしれません。

 

それならば、現在のJCFCの組合員は、なぜメンバーとしてとどまっているのでしょうか?

今後の調査で明らかにしていきたいと思います。

 

 

それではまた!

 

【イラストつき!】ラオス語の子音の覚え方(パート2)

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どもっす!

まだまだラオス語修行、いーちぇです。

 

さて、前回に引き続きラオス語の子音を覚えていきましょう!

パート2スタート!

 

 

 

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今にもボールをスローしようとしている人に見立てました。

バスケットボールの「b」

 

 

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シュート成功!

ポイントゲットの「p」

 

 

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どうにか桃に見立てて、、、

「m」じゃなくて、ピーチの「p」!

 

 

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 フォークの「f」

書き始めの丸は豆かなにかです。

 

 

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猫の口元と舌で「にゃーん」

 あとで出てくるヨーヨーの「y」と区別を!

 

 

なんとここからは、イラストレーターのぴやこがストーリー調で作ってくれました!

どんな内容なんだろ、、、(心配)

 

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はじまりはパーティー会場。手を取り合って踊る男女がいます。

左の男の子は、右のポニーテールの女の子のことを気にしてる様子、、、

 

 

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と思ったら、まさかの振られて「f」

さて、どうする男の子、、、

 

 

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ふてくされてました(笑)

「もーいやだ」という心の声で「m」

 

 

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傷ついた心を癒さないと。

リラックスの「l」

 

 

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悲しみを次への糧に変えて。肉体改造だ!

腹筋の「h」

 

 

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ヨーヨーの形に見立てて「y」

って、それじゃ失恋は忘れられないよ!

 

 

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まさかの急展開。

どうやらあの女の子には彼氏がいたそうです。

男の子も思わず「What!?」の「w」

 

 

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はじめから無理な恋愛だったんですね、、、 

オーマイガーの「m」

次の恋愛に期待しよう!

 

 

 

いやー、彼はこのあとどうなるのでしょうかねー。

さて、お次の子音は、、、

 

ってもうラオス語の子音ないよ!

これで全部です。

 

イラストのおかげで楽しく覚えられたでしょうか。

ぴやこ、イラストをありがとう!

 

 

バイト料ちょうだい♡

 

 

1,000 kipでいいかな、、、?

 

 

 

 

少しでも、ラオス語勉強中のあなたのお力になれたのなら幸いです!

一緒に頑張りましょう。(母音とか発音記号とか、、、)

 

それではまた!

 

【イラストつき!】ラオス語の子音の覚え方(パート1)

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どもっす!

ラオス語修行中のいーちぇです。

 

 

この記事を読んでくださっているということは、あなたもラオス語を勉強しているところなんでしょう。

 

ラオス語難しいですよねー、って

ラオス語を勉強している人がいったい何人いるというのでしょうか?(村上春樹風)

 

 

聞く話すは実際の発音を聞かないといけないので、ラオスに入ってから頑張るとして(笑)

読み書きに関しては、ラオス文字を覚えるという難関があります。

ラオス語の文字ってクルクルしてて、日本人のぼくにはどれも似たように見える、、、 

 

特に子音はたくさんあって覚えるのが大変です。 

 

そこでぼくは、どうにか子音の形を何かに見立て、それを日本語と関連させて覚えました。

 

今回は、そんないーちぇ流のラオス語の子音の覚え方を紹介!

さらに、ぴやこがイラストを書いてくれました。

 

ラオス文字とイラストを結びつけて楽しく覚えましょう。

 それではスタート!

 

 

 

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まず、みなさんが覚えるのはこれではないでしょうか。

ラオス語のアルファベットの最初に出てくる「k」。

重いものを持ち上げようとして腰が逝ってしまった人に見立てました。

 

 

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ニョロニョロしてるコードの「kh」。

同じカ行で表示してても、「k」と「kh」では息の使い方が異なるので注意。

 

 

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さっきのコードをもうちょっと伸ばして、さらにコードの「s」。

 

 

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コードときたら、、、

そう、壁に取り付けてあるコンセントの「kh」。

 

 

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丸い部分をピストルの弾、線の部分を弾の軌道に見立てて跳弾!の「c」。

「c」はチャ行ですね。

 

 

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頭を下げている人に見えますよね。

ということで、ごめんなさい

 

 

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もうちょっと深くお辞儀して、口調も丁寧に。

どうもすみませんの「d」。

 

 

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何をしでかしたのか分かりませんが、大変失礼しましたの「t」。

腰が陥没してるのは、おそらく何か重いものを持ち上げようとして腰をやってしまったのでしょう。

 

 

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どうにか、イメージを膨らませてもらって、謝罪している二人組を横から見た図ってことで。

友達に免じて許してもらいましょう。

 

 

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後転してローリングの「l」。

小学校のマット運動懐かしいなー。

 

 

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そしたら、足までくるくるしちゃって、さらにローリングの「s」。

「s」は「さらに」しか思い浮かびませんでした、、、

 

 

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背中にたんこぶがあるラクダに見立てました。

たんこぶの「th」。

 

 

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それならこれは、、、背中に2つこぶがある、ふたこぶラクダでしょ。

 ということで「h」。

 

 

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パート1の最後は「n」。

どう覚えるかというと、上下を反転させると「n」の形になるから!(こじつけ)

 

 

 

以上、パート1はここまで!

 

ラオス語の子音は残り半分。この勢いで全て覚えてしまいましょう。

残りはパート2で紹介します。

 

 

それではまた。ポーカンマイ! 

 

【コーヒー生産者STORY part2】生きるための知恵

 

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どもっす!

最近9時間睡眠のいーちぇです。

 

今日も新シリーズpart 2!

 

 

リッさん

 

前回記事にしたギッさんへのインタビューのあと、もう一人とお話させていただきました。

それが、同じくJCFC組合員のリッさん。

 

ギッさんにリッさん、、、ラオス人の名前は発音しにくいものが多い、、、

 

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こちらがリッさん。

年齢は34歳と組合員の中では若め。昨年結婚したばかり。

 

リッさんが栽培したアラビカ種のティピカコーヒーは、日本に輸出されているそう。

もしかしたら、みなさんもリッさんのコーヒーを飲んでいるかもしれませんね。

 

 

リッさんからは、家計を助け、もしものリスクに備えるための生産者としての知恵を聞くことができました。

 


 

 知恵その1

 

リッさんはアラビカ種ティピカの他に、ロブスタ種  というコーヒーも栽培していました。

 

ロブスタ種のコーヒーは、アラビカ種ティピカより栽培がしやすく、さらに多くの実がなります。ただ、そのぶん販売価格は低め。

味はアラビカ種のコーヒーほどよくないですが、缶コーヒーインスタントコーヒーなどに使われるため需要があります。

 

リッさんは、彼のロブスタを収穫したあと、チェリーから生豆まで加工していました。

どうやって加工するかというと、ナチュラルプロセスという精製手法を用います。チェリーを天日干しして、数日間乾燥させたところで、脱穀機で一気に生豆にしてしまうのです。なので、先日お話したパーチメントの状態は省かれます。

JCFCはロブスタ種の買取を行っていないので、生豆は仲買人に販売しています。

 

これのどこが知恵なのかというと、仲買人に販売するのは別に生豆である必要はないのです。

多くのコーヒー生産者が、彼らの栽培したロブスタ種をチェリーのまま販売しています。その方が、すぐに現金が手に入るので。

 

ただ、リッさんはナチュラルプロセスを行う時間と手間を惜しまず、生豆にまで加工しています。そうすることで、チェリーで販売したとき以上の現金が手に入ります。

 

そして、それだけでなく、生豆にすることで長期間保管できるというメリットもあるのです。

チェリーは収穫したその日に仲買人に売ってしまわないと、傷んでしまうため売り物になりません。

しかし、生豆にしてしまえばそのようなことはありません。だから、仲買人の買取価格が上昇する頃合いを待って、値段が高くなったタイミングで販売することができるのです。

 

リッさん、若手なのにやりますねー!

 

ただ、だからと言って、「それなら全員生豆にすればいいじゃん!」ということではなく、組合員によっては、ロブスタはチェリーのまま販売して早めに家計にお金を入れたいという人もいます。

それは、各組合員の家計戦略によるのです。

 

 

 

知恵その2

 

この地域のコーヒー生産者が、主に栽培してるコーヒーは3種類あります。

 先ほど話にでた、アラビカ種ティピカロブスタ種

そして、もう一つがアラビカ種とロブスタ種の交配種であるカティモールです。

 

しかし、リッさんはこの他に、2種類も栽培していました。

一つ目がジャワというコーヒー。その名の通り、インドネシアのジャワ島を産地とするコーヒーですね。

セータプン村では、彼だけが栽培しているそうです。

 

そしてもう一つが、カトゥワというコーヒー。

栽培が比較的簡単でカティモールに似てるそう。

 

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これがカトゥワの葉。

先端が白くなる。

 

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そして、こちらがカティモール。 

カトゥワと違い、先端が緑色。(見分けが難しい、、、)

 

栽培する種類を増やすことによって、例えば、ある種が病気で収穫できなかったとしても、他の種類でカバーすることができます。

さらに、売り先に関しても、ある種の売り先が急になくなってしまったとしても、他の種類が売れれば、収入がゼロになることをまぬがれます。

リスクを分散しているわけですね。

 

まとめ

 

その他にも、窒素を土中に補うためにコーヒー農園にピーナッツを植えたり、ジャックフルーツを使って有機肥料を作ったりと、いろいろな取り組みをしていました。

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ただ、そのようなノウハウを実践してない人や村があるのも事実。

どのように、そのような人々の意欲を掻き立て、組合全体でコーヒーのクオリティを向上させるのかは、組合の課題でしょう。

 

その時には、リッさんのように先にチャレンジをしていた人の成功例が、キーポイントになるかもしれませんね!

 

 

それではまた!

 

【コーヒー生産者STORY part1】君が支払ってくれるかい?

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どもっす!

カカオたっぷりなチョコレートが恋しい、いーちぇです。

 

本日より、ラオスのコーヒー生産者に対する調査の様子を、「コーヒー生産者STORY」としてお伝えしたいと思います。

 

ぼくたちが飲むコーヒーは、どんな生産者の方々がつくっているのでしょうか。

そして、どんな思いでコーヒーを栽培しているのでしょうか。

 

あなたが口にするコーヒー、

その背後にある真実を知るきっかけになれば幸いです。

 

それでは、Part 1スタート!

 

 

 

セータプン村の組合長

 

この前の記事でお伝えした通り、最初の調査はセータプン村で開始しました。

記念すべき一人目は、この村のJCFCという生産協同組合のリーダーであるギッさん。

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生産協同組合「Jhai Coffee Farmers Cooperative」のポロシャツを着てる。

ぼくがセータプン村に行くたびに、自宅の軒先で歓迎してくれます。 

 

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笑顔が印象的。ギッヨーという愛称で呼ばれている。

 

 

ここで、少し組合の説明をさせていただくと、

ぼくが調査している「Jhai Coffee Farmers Cooperative」(通称JCFC)の中には、二種類の組合があります。

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一つ目は、それぞれの村の中で運営される一次組合

村内の組合メンバーが栽培したアラビカ種ティピカのコーヒーは、各家庭でチェリーからパーチメントという状態にされて一次組合がまとめます。

 

二つ目は、それらの一次組合をまとめる二次組合

一次組合で村内で集められたコーヒー豆は、二次組合に送られ、そこでパーチメントから生豆にされます。その後、日本やアメリカなどに輸出されます。

 

それぞれの組合に、組合長や副組合長が存在します。

今回紹介するギッはこの一次組合の組合長なわけです。

 

コーヒーの状態(チェリー、パーチメント、生豆)については、ややこしいのでまた記事を書きますね。

 

 

 

 組合長の仕事

 

ギっさんは、組合長としてどんな仕事をしているのでしょうか。

 

まずは、拠出量の把握。

村内の組合員から今年出荷できそうな量を聞き出し、それをセータプン村からの拠出量として二次組合に報告します。

 

各村の拠出量によってJCFCの組合全体の輸出可能量が決まるので、重要な仕事ですね。

 

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自分のコーヒーを見せてくれるギっさん。

 

次に、組合員への支払い。

輸出先からコーヒーの代金が支払われたら、そのお金は組合員に配らなければなりませんね。それも組合長の仕事。

二次組合から各村の組合長に対して、その村が拠出した分のコーヒーの代金が支払われれます。

そして、それを責任持って組合長が、一人一人の組合員に配るのです。

 

 もちろん仕事はこれだけではありません。

何か組合内で新しい取り組みをするときも、組合長のギっさんが中心となって行います。

 

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この前には、肥料を購入する代わりに、自分たちで有機肥料を作るという取り組みが開始しました。

その際も自らお手本となるギッさん。

 

 

 

組合長の報酬は、、、なし? 

 

前回の記事で、セータプン村のJCFCの組合員の数が大幅に減ってしまっていた、という話をしました。

その理由を尋ねてみました。

 

 

なぜ組合員数が減ってしまったのでしょう?

 

 

組合員は村内でチェリーからパーチメントに加工するだけでなく、二次組合の倉庫に移動して今度はパーチメントから生豆にする作業もしなくてはならないんだ。どうやらその作業が重荷になってしまったらしい。

 

 

 

 

組合に参加してコーヒーをチェリーから生豆まで加工することによって、自分が受け取れる販売価格は上昇します。

しかし、その価格と手間を天秤にかけたとき、チェリーのまま早く売ってしまってお金を手にしたいという人が増えたということですね。

 

しかも組合員が少ないため、今はセータプン村の組合の幹部はギっさん以外におらず、ほぼ一人で組合をまとめているそう。

 

 

 

それは大変ですね、、、

組合長としてのお給料は出るんですか?

 

 

給料?そんなものはないよ!

もはやボランティアさ。

 

 

 

これにはぼくもびっくり。

組合長として大変な仕事をしていながら、その報酬はなし。

 

 

それは大変ですね、、、

 

 

もし君が二次組合のリーダーになったら、ぼくに給料を支払ってくれるかい?

 

 

・・・

 

何も答えることはできませんでした。

彼が可哀想だからと言って、給料が彼に支払われたら、他の組合員はそれを妬むことになるかもしれません。

そうなれば、組合を円滑に運営することはできなくなるでしょう。

 

これは、難しい問題です。

 

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 「君が支払ってくれるかい?」 彼は、いつもとは違う笑顔を浮かべた。

 

 

まとめ

 

調査初日からディープな内容となり、少し驚きました。

みなさんもいかがだったでしょうか。

 

一次組合の組合長というのは、村内の組合員と二次組合との間に位置し、どちらからの信用も得なければならない、難しいポジションにあります。

だからこそ、迂闊に彼らにだけ収入を渡すことは難しいでしょう。

 

組合員からも認められる報酬がギッさんに渡ることはあるのでしょうか。

そして、他の村はどういう状況なのでしょうか。

 

今後の調査で明らかにできれば嬉しいです。

 

それではまた!

【閲覧注意】ラオス人が大好き!ブツブツなあれ

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どもっす!

 日本食が恋しい、いーちぇです。

 

今日はラオスの驚くべき食文化を紹介します!

 

 

トライポフォビアのアレ

 

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それがこれ。

え、どれって?

 

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これですよ、これ。

 

表を向けると、、、

(トライポフォビアの人は閲覧注意!)

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でーん!

ハスの花托ってやつです。 

 

ブツブツ恐怖症じゃないぼくでも、食べるのは気が引けます、、、

でも、ラオスにでは普通に食べるそう。

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 食べてみせるニャイ。

 

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入手方法もいたって簡単。

市場に普通に売ってますし、おばさんがバイクとかでこんな風に売りにきてくれたりもします。

 

どうやって食べるかというと、、、

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爪を立ててタネのまわりをむきます。

 

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 むきっ

中はこんな風になってるんだ、、、

 

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タネの部分を取り出します。

 

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そのタネの皮をさらにむく。

 

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中がこんな風に白くなっていて、これを食べます。

味は、フルーツほど甘くないですが、甘い野菜を食べているような感じ。

 

一旦食べ始めると剥くのが楽しくて、一気に食べちゃいますよ。

 

食べ終わった。

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こうなってしまえば、怖くも何ともない。

 (逆にグロい?)

 

 

ということで、今回はハスの花托を食べるラオスの食文化の紹介でした。

ラオスではこれに限らず、虫を食べたり動物の血を使った料理をしたりと、日本人にとってはきつい食文化がまだまだあります。

それについてはまた今度、、、

 

それではまた!

 

【2つの意味で】家計調査までの道のりは険しすぎる

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どもっす!

 ラオスでまさかの太りだした、いーちぇです。

 

すでにトビタテ!の研修が開始してから3週間以上たっていますが、未だにラオスでの活動の記事を書いていませんでした(笑)

しっかり活動はしてます!

 

ということで、村での調査がどのように進行しているのかを紹介していきたいと思います。

 

 

 

始まりはセータプン

 

最初の調査対象として選んだのは、セータプン村

昨年のデータだとコーヒーの生産協同組合の組合員が20人以上いるということで、十分なデータが得られるだろうと予想のもと、この村に決定しました。

 

セータプン村ではどんな人々が暮らし、どんな生活を送っているんだろう。わくわく。

ということで、 早速行って参りました。

 

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セータプン村に着きましたー。

村に入る時は毎回どきどきする。

 

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コーヒー生産者のみなさん。

見た目怖いですが、話しかけたとたん笑顔で返してくれます。

 

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ぼくが混じってもしっくりくる。

 

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この村では、コーヒーだけでなく、キャベツや白菜の栽培も盛んだそう。

ぼくが訪れるときには、毎回仲買人が買い取りに来ています。

 

 

 

精神的な難しさ

 

調査の方法は、すでに何回か書いたことがありますが、コーヒー生産者個人に対するインタビュー方式で行っています。

昨年のコーヒーによる収入を聞き取り、フェアトレードによる恩恵がどれほどなのかを調べます。

また、昨年の支出もインタビューして、どのような生活状況なのかも把握します。

 

と簡単に言っても、実際に行ってみると、これが難しいんです。

家計簿をつけているコーヒー生産者なんてまれですから、正確なデータをとること自体難しい。

 

 

それに、ラオス語が拙いぼくは、まだ通訳頼み。

だから、細かなニュアンスをぼく自身が聞き取ることもできません。

 

うーん、まだ心と心の距離を感じます。

もどかしい、、、

 

 

 

物理的な険しさ

 

そして、生産者との距離を感じるのは、精神的な面だけではありません。

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というのも、村までの道のりが厳しすぎて、物理的に険しい!(笑)

 

しかも、今のラオスは雨期なので、雨が降ったらさあ大変。

ただでさえデコボコしてる道がぬかるんで、もはやオフロードのモータースポーツに来たかのようです(笑)

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(ぬかるみにハマってしまったトラクター) 

 

 

調査スタート

 

セータプン村の人口は1,650人。

240家族が暮らしているそうで、なんとその全家族がコーヒー栽培に携わっているそう。

とは言っても、全員に調査をしていたら大変なので、組合に参加している人と参加していない人を同じ数くらい調べて比較してみたいと思います。

 

 しかし、調査を開始してみると驚くべきことがありました。

なんと、昨年21人いた組合員数が、今年は8人まで減っていることが判明したのです。

 

「えー!これでは組合員のデータが8人分しか取れない、、、」とは思いながらも、

なぜ組合員数が減少したのか調べるのも調査の大事なところ。

ということで、早速組合員のコーヒー生産者の方々からインタビューを開始しました。

 

 

インタビューの様子はまた次の記事で。 

それではまた!

 

 

【リフォーム術】ラオス人のDIYは、だいぶいい加減でゆるゆる

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どもっす!

建築系の留学に来たいーちぇです。うそです。

 

先日の記事で、ホームステイ先のゲスト用の部屋が一つしかない、という話をしました。

iietzsche.hatenablog.jp

 

 

しかし、ホームステイのオーナーのニャイ曰く、どうやらもう一部屋増設するそう。 

 

でも、リフォームなんてお高くないのかな、、、?

 ということで、ラオスのリフォームの様子をご紹介します!

 

 

 

リフォームは自分たちでやっちゃう!

 

ぼくがこのホームステイ先に来た時には、すでにリフォームが開始していました。

 

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こちらがリフォームするお部屋。

 

 

ラオスの人のすごいところは、業者に頼まないで、自分たちと周辺の人たちだけでリフォームしちゃうところ。

 

今回のリフォームも、ニャイの弟ノイくんに頼んでいるそう。

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ノイくん。

新しく取り付けた壁を白くペンキで塗っています。 

 

 

一方、ニャイは床のワックスがけをしていました。

 ワックスがけも日本のそれとは全く異なります。

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使うのはこの二つ。

左はヤシの実からとれるもので、右のはロウソクのロウ。

 

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裏はこんな感じ。

ブラシみたいですね。

 

この二つでどうやってやるかというと、

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ロウをクレヨンみたいに床に塗って、、、

 

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 そこをヤシの実で磨く!

 

疲れてきたら、、、

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足で磨く!

 

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左奥のほうが、ピカピカしてるのが分かるでしょうか。

 

ぼくも手伝わせてもらいました。

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はたから見たら、一体何をしてるのかよく分からない。

 

 

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頑張ってると、ニャイの姪Phoneちゃんが報酬をくれました。 

 

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ラオスなのにユーロ(笑)

中には茶色い甘いのが入ってました。 

 

 

お次は、ドアのペンキ塗りを手伝わせてもらうことに 。

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茶色のドアを茶色に塗る。

でも、やるからには日本クオリティを目指す。

 

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あー、、、 

お好み焼き食べたいなー

 

 

その傍らでニャイもはげかけた壁を塗り始めました。

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ぼく「その色で塗るの!?」

ニャイ「え?でも似てるよ?」

 

さすがラオス人。フリーダムです。

 

 

ニャイ「じゃあ、次は窓枠も頼むよ。」

ぼく「はーい、、、」

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ってビール飲んどるやないかい! 

 

ぼく「今日終わらせなくていいの!?」

ニャイ「あ、窓枠は明日でいいから。飲も飲も。」

 

とおやつの時間からおっぱじめるオーナー。

 

 

結局その日はみんな寝てしまい、リフォームは次の日に完成しました。

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 完成の図。

これでぼく以外のお客さんが来ても寝れます。

 

 

ラオス人のリフォームは急がず焦らず。

Do It Yourself だから、自分が焦らなければ、リフォームだって焦らなくていい。

 

ラオスの人々のゆったりとした気質と、

しかし、それを可能とするたくましさを感じました。

 

 

それではまた!

 

【コーヒー生産者の現状 in ラオス】一年越しの衝撃的なストーリー

 

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どもっす!
ラオスのカラオケに行っても踊るしかない、いーちぇです。
 
今回は、ぼくにとってショッキングだったお話を。
少し複雑ですが、コーヒー生産地の現状について知りたい方はぜひ。
 
 
 

プーワンさん

 
先日、学生団体「ドリプロ」の家計調査に同行した。

家計調査とは、コーヒー生産者に昨年の収入と支出をインタビューするもので、

家計に対するフェアトレードの恩恵を測ることが目的。

 

 

そしてこの日は、コーヒーの生産をしているセットコット村へ。

セットコット村は、ぼく自身昨年のスタツアでも訪れていた。

また同じ村で調査できるというのは、家計の変化を知るために大事なことだ。

 

 

去年家計調査をしたのは、プーワンというお母さんだった。 

彼女は村長にアラビカ種ティピカというコーヒーを一般的な価格より低い価格で村長に販売していた。

 

そのことに対し、プーワンさん自身は、

「価格は品質をもとに決定しているし、村長は仲買人が買いに来ない時に、代わりに買ってくれる。」

と答え、村長を信頼しているようだった。

 

そのため、「ここの村長怪しくないか?」なんて彼女に言うことはできず、モヤモヤした気持ちで村を後にしたのを覚えている。

 

 

そしてまた今年、彼女と話をすることができる。

そこには、楽しみの他に、何か使命感のようなものがあった。

 

 

 

衝撃の事実

 

学生団体メンバーの家計調査を横で聞いていると、どうやら今年は仲買人に売っているそう。

値段も昨年を上回っていた。

 

それを確認し、ほっとした気持ちで家計調査の続きを聞く。

 

 

メンバーは家計調査の質問項目を聞き終え、様々な質問を投げかけた。

 

最後に、一人の学生が「なぜ仲買人に売ってるの?」と尋ねたところ、 

プーワンさんから「仲買人の方が支払いが早いから。」という答えが帰ってきた。

 

 

ここで少し解説を。

コーヒー生産者のコーヒーの売り先は、主に生産協同組合仲買人の2つある。

 

一般的な生産協同組合は、まず生産者からコーヒーを集めて、それを輸出した後に取引先からお金が入るため、生産者個人に対する支払いは遅れてしまう。

収穫は早くて10月頃から始まるが、支払いは翌年の6月くらいだそう。

 

それに対して、仲買人はコーヒーをその場で購入してくれるため、生産者はすぐに現金を手にすることができる。

つまり、収穫開始の10月に収入を得られることになる。

 

そのため、生産者は全てのコーヒーを生産協同組合に販売するのではなく、仲買人にも販売し、現金を調達している。

 

プーワンさんもどうやら、早めにコーヒーを販売して、現金をすぐに手に入れたいそうだった。

 

 

プーワンさんからの答えを聞いて、その学生が口を開いた。

「それならATJに売れればいいのにね。前払い制度があるから。」

 

 

ATJとは日本の輸入会社のこと。

生産協同組合を通して ATJにコーヒーを売ることができれば、収穫前の8月頃に収穫予定量の70%ぶんを前払いによって受け取ることができる。

 

その学生の発言は、これを踏まえての発言だった。

確かにATJに販売できれば、10月に仲買人に売るタイミングよりも2ヶ月早い、8月に収入が入る。

 

 

しかし、学生の発言を通訳が翻訳してプーワンさんに伝えたところ、なにやらプーワンさんと通訳が話し込んでいる。

 

通訳にどうしたのか尋ねたところ、どうやらプーワンさんはATJの前払い制度について知らなかったと言うではないか。

 

ATJの前払い制度について初めて知ったプーワンさんは、嬉しそうに「それならぜひATJに売りたい!」と笑顔で答えた。

 

一方で生徒側は村長を責め、通訳に質問をぶつけた。

「なぜ、前払い制度について教えなかったのか!?」

 

しかし、通訳は涙声に「なぜかはわからない。でも、彼女は前払い制度について知り、新たな利益を受けれる可能性ができた。そういう結果だ。」と言う。

 

そのよそで、プーワンさんと村長が話している。

二人は笑顔だが、よそよそしいというか、苦虫噛み潰したような顔。

彼女らのラオス語が聞き取れないのが、悔しい。

 

 

各村からのATJへの拠出量は決まっている。

セットコット村からの拠出分は、すでにプーワンさん以外で埋まっていたため、村長はわざわざ彼女に伝えなかったのかもしれない。

 

しかし、そうは言っても、前払い制度を知らなかったと言うのはどうかと思う。

 

その制度を知っていれば、彼女もそこに売りたいと村長と交渉することができるし、それによって売り先が変われば、自分が育てるコーヒーの種類も変わる。家計を支えるための戦略が変わるわけだ。

しかし、彼女はその可能性が閉ざされていた。

 

 

しかし、むやみに村長だけを責めることはできないのかもしれない。

ATJはこの事実を知っているのだろうか。

前払い制度が一部の生産者だけの占有的な恩恵となっていては、フェアトレードとは言えない。

 

 

とにかく、今回のことは驚きを隠せなかった。

前回のスタツアから一年以上経っている。

その間、彼女は前払い制度のことを知らなかった。

自分たちが去年伝えるチャンスがあったのにもかかわらずだ。

 

今回もまた、遺恨を残したまま村を出ることになった。

しかし、幸いにもぼくはまたここに戻ってくることができる。

 

ポップカンマイ、と言って彼女と別れた。

また、彼女に会いにこよう。

 

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家計調査の後。 一番右がプーワンさん

 

 

 

家計調査の意味

 

そして今一度、家計調査の意味を考え直してみる。

 

 

ぼくたちは「家計調査」という名前からして、それを生産者から学生への一方的な情報の伝達だと思いがちだ。

しかし、それでは生産者側にはメリットはなく、ただただ時間を割かれるだけ。

 

 

しかし、今回は前払い制度という、生産者が知らない情報を提供することができた。

学生側も、調査をもとに生産者が持っていないような情報を提供する、それでこそWin-Winな関係だと言える

 

「フェアトレード」という言葉が表すのは、何も公平な金額を提供するということだけではない。

生産者と消費者が「対等な」立場にたつ、という意味での「フェア」もある。

フェアトレードを学ぶものとして、そのことを考慮してなかったのは、恥ずかしいことだった。

 

しかし、同時に希望もあった。

ドリプロの学生はこのスタツアで一人の生産者の運命を変えた。

セットコット村のプーワンさんはみんなとの家計調査があったおかげで、ATJの前払い制度を知った。

 

生産者の現状を変える力が学生団体ドリプロにはある。

 

 

 

まとめ

 

スタツアでのこの体験は、自分にとって大きいものでした。

というのも、末端の生産者とその上部の村長や組合の間に起こる「情報の非対称性」がいかにして起きるのか、というテーマに関心が湧いたからです。

 

それは故意に起こるのか、それともなんらかの不徹底によって起こるのか。

これからのぼくの調査の1つの観点にしたいです。

 

 

最後までおつきあいいただきありがとうございました。

そして、ブログの途中からいきなり、「〜です」みたいな口調から「〜だ」みたいな口調になって、すいませんでした(笑)

 

それでは、また!